あたしは教室へ戻って碧斗くんの
でっかいジャージを着た。


「……ぶかぶか。」



ほんのり香る碧斗くんの匂い。
あったかいような安心する匂い。

「まゆも大人になっちゃって…」

気付いたらニヤニヤしてる優奈が
あたしの方を見て更にニヤニヤしていた。


「ジャージ交換しただけだもん!」

一方的に、だけどね………。



「まゆは碧斗様のこと好きなの?」

碧斗くんのことが、好き?


「あたしは葉山くん諦め切れてないし…」


「碧斗様は?」


「葉山くんが気になるし…」


「葉山くんはいいから。碧斗様は?」


「あ、碧斗くんは…………生意気だし…」


「我が儘で、意地悪で、頭良くて、かっこよくて、優しくて、」


「後半良いところばっかじゃん。」


「わかんない………」


「馬鹿だねまゆ。それが恋だよ…」

おばさん臭く遠い目で見る優奈。


「あたし、碧斗くんが好きなの…?」


「野暮なこと、聞くなよ…」

カッコつけた風に言った優奈が
面白くてあたしわ笑ってしまった。