バツの悪そうな顔の碧斗くんと
ニヤニヤとしている優奈さん
「え?なんかごめんね?」
状況が飲めない武内麻雪(16)は
とりあえずむくれてる碧斗くんに謝った。
「先輩、マジ馬鹿……」
そう言って碧斗くんはあたしの手を
引っ張って競歩するかのように
ずんずんと歩き始める。
「あ、碧斗くん…はやい…」
「だいたい、今の卑怯でしょ。」
「え…?」
「髪型もいつもより凝ってるし」
「碧斗くん?」
「変な声出して助け求めるし。」
「…………、」
「俺ばっか焦ってムカつくんですが。」
碧斗くんは拗ねた顔でそう言って
あたしの上ジャージを奪った。
「え、無かったら困る…!!」
「んじゃ、男避けにこれ着てよ。」
そう言ってあたしのサイズより
でっかい上ジャージを渡してきた。
「え…でっかいよ?」
「先輩には拒否権ナシだから。」
あたしはファンの女の子に殺される
覚悟でジャージをギュッと握った。