「そんなんじゃないもん。」
あたしはほっぺを膨らませて
ふて腐れたそぶりをする。
「嘘ばっか。」
フッと碧斗くんは笑ってあたしを
キュッと軽く、抱きしめた。
「な、んでもないもん。」
心地いいあったかさも、優しい行動も
声も仕草もなにもかもがあたし以外の
誰かのものになるのが気に入らない
ワガママな自分にあたしでも呆れてる。
「先輩の甘えんぼ。」
甘えてるのは碧斗くんの方なのに
あたしは冷静なのにいらないのに
碧斗くんの体温が温かくて
涙が出そうだけど素直になれなくて
碧斗くんの前だとツンツンしちゃって
優しい女の子の方がいいに決まってるのに
出てくる言葉は可愛くなくて。
「可愛くない人は嫌い?」
気付いたら力無い声で、震えた声で
碧斗くんに問い掛けて居た。
「先輩はほんとに馬鹿だね。」
碧斗くんはそう言ってあたしの
おでこに今度は思い切り頭突きして来た。
