彼のち君、ときどき雨。




「私は、一志と別れたとは思ってない。一志が好きだもの。」


一志じゃないと、駄目。


簡単に渡すなんて無理。


彼女が悔しそうに口を開きかけたその時。


「何してんの。」


それは少し冷たい一志の声だった。