彼のち君、ときどき雨。




一志くんは私からすっと離れる。


「俺、ホントは読書なんてほとんどしないよ。この本読んだのだって…


藍に近づくため。」


本棚からあのときの本を取り出して、私の目の前で振る。


一志が、怖い。


…でも、なんだか一志が傷ついているような気がした。