「で、どこのボタン?」

「襟元。」

…え?

「え、えり…もとっ?」

「そ。じゃあお願いします」

「え!?このままじゃ無理だよ。高崎君脱いで!」

「…田宮さん、意外と肉食系なんだね…」

「違うよ!もう!時間無いからはやくー」

「それこそ面倒だよ。このままでいいじゃん?」

このままって…、どうするの!

「それに危ないからダメだよ!」

「いいから、ほら!」

針を渡されて、私は覚悟を決めた

「じゃあ、本当に知らないからね!」

「…え?それはどういう…」

「黙って!」

裁縫なんてあんまりやったことないからなぁ…

とりあえず、針をボタンに…

「た、田宮さん!?…痛っ!!」

「ちょっと、じっとしてて!」

「待って待って!ヤバい!めっちゃ首に刺さってるし!いたたた」

「んー…、よし!こんな感じ!?」

よく見ると、ボタンは前の外れかけてる時より酷くなっていた

「あれー?おかしいな…。まぁ、いっか!」

「いっか!…じゃないだろ!」

「頼んだのそっちでしょ?それに最初どうなっても知らないって言ったし…」

「いや、そうだけどもー…。まさかここまで不器用だとは…」

「あ!もう休み時間終わってるよっ!どうしよー、次の授業がぁ」

「今からならまだ間に合うだろ」

「そう?じゃ、行こう」

あれ、そういえば今二人きりだったんだ…

そう考えると急に心臓がうるさくなってきた。

「?どした、田宮さん」

「なっ、何でもない…」

二人で廊下を歩いている時も高崎君の方を見られなかった

なんで変な気持ちになるんだろう

こんなの初めて…