私には、
「お母さん」が居たけど、


「お母さん」の意味が分からなかった。


お母さんって何?


いつからかそんな疑問を抱くようになっていた。


月に一回、会いに来る人を
私は「お母さん」と呼んだ。


けど、何故か私は、
お母さんの前では
良い子でいなくちゃいけない

そう思っていた。


だから私は
「良い子」を演じていた。


我が儘も言ったことなかったし、

欲しい物も
「欲しい」と言えなかった。


面会から帰るとき
お兄ちゃんは泣いていた。


「寂しい」って
お母さんに抱きついていた。