「湊遅い!電車行っちゃったじゃん!」
「ごめん芽久~」
腕を組んで仁王立ちをした芽久(めぐ)が、私を見つけるなり怒鳴ってきたので慌てて改札を通った。芽久はいつもルーズな割に時間にだけはうるさい。
「お昼おごるから許して?」
「A定食とオムライスね」
「二人ぶん食べる気か!」
そしてかなりの大食いである。細い体のどこに蓄えるのかいつも謎だ。
そのまま私達はちょうど着た次の電車に乗った。通勤ラッシュなこの時間はいつも出入口付近に立つことになる。
「でもすごい偶然だねぇ。また芽久と同級になるなんて思わなかったよ」
「おばさん達は帰ってこないの?」
「うん、私だけ。今はいとこのお姉さんとこに居候させてもらってるから」
「ふーん」

