私の自慢だった。

きれいで優しくて、私をいちばんに想ってくれる人だった。


“俺がいるからな”


そう笑った顔を見ると、ふしぎと不安がなくなった。いつも私の隣で、私を守ってくれていた。




「湊~8時回ってるよ」


「はぁい」



ドア越しの声に返事をして、紺チェックのリボンを留める。カバンを手に部屋を出ようとした所で、ドア隣の写真に挨拶をした。




「…行ってきます、お兄ちゃん」





1・新月