私は、この罰に価するような不実な恋人だったのかもしれない。
誠実でいることの意味がよく分からない私にそんな事を求めた男の方が
いけないと今でも思っている。
なぜこんな事になったのか?
涙でぼやけた視界に記憶がくっきり甦る。
あれは、私が自分という存在を感情と肉体を切り離してコントロールできるか?
という子供じみた試みをしてから8年後のこと。
すっかり浮き世に俗され、自尊心を一番見失っていた半年前の出来事だった。
私は、一人の男と出逢った。
その出会いは、運命でもなく、惰性でもなく、偶然であり
最初から未来がなかった。
そんな事を考えるまでもない曖昧でずるい出逢い。
