「先輩! あたしと別れてください」


あたしは、勢いよく大声で言った。


先輩は、わかっていたよみたいな笑顔で微笑んだ。


「いいよ……。だって香ちゃんは健君が好きなんだよね?」


「えっ」


あたしは、言葉に詰まった。

あたしが健を好き?そんなのありえなかった。
あたしが好きなのは、この目の前にいる人である。



健なわけがないのに。


「違いますよ」

「え? だって、キスしてたでしょ?」


キス?もしかして、朝の見てた?
そりゃそうだよねぇ、道端だもん。


でも、とんだ勘違いだ。


「あれは、健とあたしの挨拶みたいなもんです」


あたしは、色々言いたいことはあったが、話すと長くなるのではぶいていった。