「ちょっ、け、健!?」


あたしは、不覚にも大声を出してしまった。



やばいッ!と思ったときには、もう遅かった。
晶先輩と、彩先輩がこちらに向かってきた。



あたしは、ばっと顔を伏せた。



何か、あたしが悪いことしたみたいじゃん。



「香ちゃん? もしかして、みてた?」


晶先輩の、ばつ悪そうな声が聞こえてくる。
何か、そんな声聞いたら泣きそう。


あたしは、溢れ出しそうな涙を押し殺し先輩をみた。


「名前を呼び合ってるところしか、みてません」


「そっか、よかった」


先輩が、にっこり笑顔で言う。


何が、よかったのー―……?