何度忘れようとしても

「井川さん、襲いにきたんですか?」

「わー!」

ビックリした。
起きてたんだ・・・

気がつくと佐伯くんは私の腕を掴んでいる。
佐伯くんの肩にかけようとのばした右手。

「佐伯くん、痛い」

「あ、ごめんなさい。どうしたんですか?」

佐伯くんは私の手をそっと離すと体を起こしてソファに座った。

「あの、チラシ作ってて分からない事があって教えてもらいたいんだけど」

「いいですよ」

立ち上がって、休憩室を出て行く。

「ごめんね、起こしちゃって」

後を追いながら謝った。

なんだか考え事してた所を邪魔しちゃったような気がした。