何度忘れようとしても

彼が消えて行くと向かいに座る高岡さんが話しかけてきた。

「若いよねー佐伯くんて。いくつなんだっけ？」

「えっと〜２年目だから今年２４になったんじゃないですかね？」

新人研修を終えて配属され、このオフィスに来たばかりの彼は頼りない子供みたいだった。
なのにこの２年でずいぶんとしっかりしたと思う。

「なんかねーこの前、誕生日が１２月２０日だとか言って騒いでたわよ」

「そうなんですか・・・じゃあこれから２４歳か。うーん、若い」

「ねえ、三根さんが居なくなったら佐伯くんみたいな若い子が来てくれるといいね」

「あーいいですねぇ。またおじさんだったらやだなぁ」