何度忘れようとしても

「俺、親の仕事の関係で子供の頃フランスに居たんですよ。その時にドイツも何度か行ったから・・・あ、出来た」

そう言って佐伯くんは火を止めた。
私はそのフランスの話がもっと聞きたいなと思った。

ソファに並んで、炊きあがったばかりのターメリックライスでスープカレーを食べた。

「すっごく美味しい!」

一口食べてビックリした。辛いけどちゃんとコクがあってお店で食べるよりも美味しい。

「佐伯くんプロなみだよ」

「よく、言われます」

佐伯くんは言った。
そうか、彼女によく作ってあげているんだろうなあと思った。羨ましかった。