「いいなあ。真梨果ちゃんは、仕事も恋愛も順調だね」

私は言った。
場つなぎのように。
真梨果ちゃんは嬉しそうに微笑んだ。

私には彼女が翔太と腕を組んでクリスマスツリーの下を仲良く歩く姿が鮮明にイメ―ジできた。
少しでも、翔太とのこれからを期待してしまった自分が、恥ずかしくて情けなかった。

あんなに気安く触れる事のできた翔太の腕も、体も、もうこれで触れなくなっちゃうのかと思うと寂しかった。
でも仕方ない、もう翔太は真梨果ちゃんの彼氏なのだから。

そう自分に言い聞かせ、横目で窓の外の晴れ渡る景色を見ながら私は小さなため息をついた。