何度忘れようとしても

「お前さ、なんか保険入ってる?」

「出たよー。営業しにきたわけね」

なるほどねーと思いながら翔太が出してきた資料を開く。
まあ、そんなことだろうとは思ってたけど。

「つうか真面目に聞いて。今さ、20代の独身の女の子が将来の事を心配して新たに保険に入るパターンがすげー多いの。日南子もちゃんと考えた方がいいって」

「はあ・・・。まあその気持ちは分からなくもないけど」

結婚できなそうだし、と言おうと思ってやめた。
今、孝昭の事を思い出したら冗談抜きで泣いてしまいそうだ。