「貴方だったんですね」
若干の日光が入り込む洞窟。
だがそれでも暗いので、透のライトを拝借した。
そのライトの無機質な光が、言乃の視線の人物を照らし出す。
言乃の推理をもとに、三人で導き出した真相。
通訳のとして語った恵も、間違っているとは思わない。
目の前の人間。
それが犯人。
「罪を認めて、自首して下さい――羽田さん」
改めて名を呼ばれたことで、羽田はゆっくりと振り向いた。
「私が……鹿沢さんを殺したと? どうして?」
「動機なら……この場所に立っていることが、もう証拠じゃないんですか?」
この洞窟。
玲子の暗号が残るこの場所。
そこに羽田は、バケツと雑巾を持って立っている。
「私には……なんだか、お墓参りに見えるんです」
羽田の肩が震えた。
「どうしてお墓参りだと? 私と彼女は関係無い」
「いいえ。貴方にとって玲子さんとアズサさんは、かけがえのない人です!」
迷いのない、はっきりとした物言い。
羽田は大きく目を開いて恵を見つめた。
「!! ……どうして…梓の名を…?」


