朋恵のきつい言葉に、また跳ねる村長。
まあ、と朋恵を落ち着けて炯斗は村長に向き直る。
「あんたらはきっと、火事がある程度燃えたところで消火するように頼まれたんじゃないか?」
「あ、ああ…そうだ。それに私たちとしても花守荘が営業停止なんかになれば痛手だ。それで…生活には困らない程度に、と」
村長の口から出た言葉に、高橋は目を丸くした。
「なんでわかった?」
「いやさ、消防団が来るのやけに早かったなぁ…て」
「よくそんなこと覚えてたね!」
炯斗は頭をかきながら苦笑いした。
これ全部を炯斗が考えたわけではなく、大体が言乃の推理なのだ。
「……だったら…貴方は犯人を知ってるのか?」
樋山のむっつりとした問いかけにまた怯えながら、村長はコクコクと頷く。
だが、炯斗が場を受け取って口を開く。
「もう後は消去法だぜ? 花守荘をよく知り、細工ができ、ロープウェイの使い方を知り、車を持ってて、村長も馴染みの人物」
誰か唾を飲んだ音が、やけに大きく聞こえた。
厨房から聞こえていた音も止んだ。
「それは―――」


