「舘見さんの…無実?」
「そうさ!!」
炯斗がテンション高く立ち上がった。
コホン、と咳払いが聞こえて恵が一歩前に出ると、炯斗は場所を開け渡して座る。
「私がご説明します。
あの日、火事が起きて避難した私たちは、克己さんがいないことに気付きました。
周りを探し始めたとき、おじいちゃ…いえ、透の悲鳴が聞こえたんです。
すぐに私たちは透の元に走ると、花守荘から程なく離れた辺りに腰を抜かしていたんです」
「ん?」
考えるように聞いている三人の中で最初に気付いたのは高橋だった。
はっとする彼に嬉しそうに頷くと、恵は続ける。
「そうです。
ロープウェイの駅で仕掛けてから徒歩で戻ってくるにはかなり時間がかかります。
透が仕掛けてロープウェイを作動させた上で、あの場で腰を抜かすのは不可能なんですよ!」
そこまで言うと、郁美と朋恵はあっと声を上げた。
「さらに、おじいちゃんを泊めてくれていた大場さんの証言では、夜に出ていってそんな時間がたたない間に悲鳴が聞こえたそうです。
それから少しして私たちがおじいちゃんを大場のところに連れてきた、とも」


