「お前の好きそうな話だな。それだったら、キミも気付きやしないだろう。教えてもいいと思うぞ」
「本当!?」
「ああ」
玲子は嬉しそうに手を叩いて喜ぶ。
なんか…負けた気分だ
克己は、笑い合う透を一瞥し、目を反らした。
提案したのは自分なのに
なのに、透はそれを上回り、玲子を楽しませる。
それよりも、思いを寄せていることが透に気付かれていることが悔しい。
何枚も上手だった透を出し抜くつもりだった自分がこの上なく恥ずかしい。
克己は、拳をギュッと握りしめた。
「……克己? どうしたの? 具合悪い?」
「ううん。………やっぱり何も残せないのは寂しいから……僕、何か探してくるよ!」
声だけは明るくそう言うと、克己は洞窟を飛び出した。
「ちょっと、克己!?」
「放っておけ。大丈夫だよ」
玲子は心配そうな表情で、克己の背中を送る。
透がもう一度「大丈夫」と伝えると、しぶしぶとまた洞窟に座った。


