出てきたのは4という数字ではなく、2。

しかもその2は3を押し上げて、当たり前のように“3/2”を完成させた。
炯斗の眉は大きくシワをよせて近づいた。

「どういうことだ?」

「日奈山くん、どいて僕らにも見せてくれると嬉しいかな。君の背中で何にも見えないんだけど」

「ああ、悪い」

炯斗が慌ててその場から飛びのくと、二人も炯斗と同じような反応をした。
言乃は炯斗を見上げて呆れた視線を投げる。

「炯斗くん、駄目ですよ。ちゃんと2を出さないと間違えちゃいますよ」

「4階って確か入れないよね、高橋さん!よし、大丈夫。誰も知らなーい」

「そういうもんでいいんですかね……?」

高橋はまだ表示をまじまじと見つめている。

「これ、他のフロアとかもなってるのかな?」

「さあ?」

「……まあ、いいや」

二人はズッとこけた。

何かに気づいたと思って期待したらコレだ。
全く、と炯斗はため息をついた。


「……とにかく、外に行こうぜ」

「そうだね。そうしようか」

高橋は、名残惜しそうにもう一度表示を見つめてから炯斗たちの後に続いた。