克己の部屋の調査を終えて、次は外の調査を行うべく、三人は階段を下りていた。

踊り場に立ったそのとき、ふと階段の表示が目に留まった。


「そういやさ、これもずいぶん凝った感じのだよな」

炯斗の言葉に、高橋と言乃も立ち止まる。

作りとしてはよくある縦に“4/3”と分数のようになった形が燭台の上に乗ったようなデザインだ。
数字の部分が細かく彫られていて、見事な装飾になっている。
黒こげになってしまったのが、本当に悔やまれるほどに。


「本当ですね」

「よくよく見るとね、こういう細かいところにこだわってるみたいだよ。ここは」

「へぇ…」


感心したように見つめながら、炯斗は何の気なしに4の部分に触ってみた。

カタン!

「えっ?」

小気味いい音を立てて、4が回転して燭台の中に沈んだ。

「あっ!壊した!」

「壊してねぇよ!ちょっと触っただけでストン、て行ったんだ」

「それを世間的には壊したというのでは?」


炯斗は慌てて背伸びをして表示の後ろを覗き込む。
なんとか3の後ろに板があるのが見える。

入るかどうかわからないが、とにかくその隙間に指を突っ込んだ。

「く…ぬぬぬ……」

限界まで指を隙間にねじ込むと、指先が板に触れた。

「よしキタぁっ!!」

そのまま板を壁に押し付けつつ引きずりだした。




「え?」

それを見て炯斗の口から引きずりだされたのは、再び疑問符だった。