「ええ、そうよ。全く出歩くと危ないところしか行かないのだから。目を光らせていたのはいいけど真夜中に出掛けるなんて思っても見なかったわよ。でもアレでしょ? 親って小さい子どもが夜中に起きると親も起きちゃうでしょ? それと同じよ! まぁ玄関の音がしたから気づいたんだけど、出て行ったのよあの人! ああ、でもね15分くらいしたら戻って来たわよ。それが二、三日続いたから何とも思わなかったんだけど、一昨日は出て行ってすぐ悲鳴が聞こえたのよ、うわぁって。そしたら若い子たち、アンタもいたわね、とにかくその子がぐったりしたあの人を連れてきたのよ!」






「あ、終わりましたか」

「聞いてなかったのかい!!」

我に帰ると、おばちゃんがギッと歯を剥き出した。

「い、いえ。聞いてました、聞いてました!」

慌てて言うとおばちゃんは鼻息も荒く引き下がった。


恵は声を掛けてくれた女性の刑事、恩河(おんが) と共に透の面倒を見ていたおばちゃん、大場(おおば)のところに聞き込みに来ていた。

事件当日の透は? と聞いたところでお得意のマシンガントークを二人にお見舞いしたのだった。