目線まで持っていき光に透かしてみる。
すると、欠片が小さすぎて分かりにくいが、赤い光が太陽を受けてちらついた。

「どうしたんだい?」

片目を閉じ、手にした欠片を何度もひっくり返す炯斗に、高橋が聞く。

炯斗は手を下ろし、高橋に欠片を渡した。

「これ、塗ってあるのかなんなのかわかんねぇけど……なんか赤いんだ」

「……本当だ…」

そこに、言乃が自分も見たいと高橋の服の裾を引く。

彼女もまた、渡された欠片を透かし頷いた。

よし、見間違いじゃない

内心で大きく安心する自分に気付き、炯斗は苦笑した。

全く…変なもんがよく見えるせいで自分を疑いたくなるぜ

「大丈夫ですか?」

バルコニーから中に戻ると、言乃が心配そうに炯斗を窺い見た。

「おう、だいじょーぶ! 次、克己さんの荷物見ていいか?」

「いいよ。ただ壊したりしないでね」

「はーい。っと……ん?」

荷物のところに近づくと、銀の筋がベッドの方にも伸びていることに気が付いた。

辿って見ると、ベッドの下。

炯斗は高橋をちらっと見た。
彼は炯斗たちに背中を向けてどこかに電話をかけている。

「何か見つけたんですか?」

炯斗は指でベッドの下を指し、ニヤリと笑った。


これ、まだ警察が見つけてないかもしれない…!

そして、そうっと下に潜り、手を、埃っぽいベッドの下に伸ばした。