「壁の?」

漠然として見ていた為、あまり覚えてはいなかったが、確かに他の部屋の壁紙と同じものだ。

ほとんどの壁紙は炎で焼かれ、擦っても炭が落ちるばかり。
それでも良く目を凝らして探すと、同じようなものがすべての壁から見つかった。

粘着性があるから、これはどうやらテープだ。

「でも……何でテープなんか…」

呟くと、高橋はさぁと肩をすくめた。

「何か見つかるかもしれないから、鑑識に回して見ようか?」

「じゃあ、頼みます」

高橋は炯斗から燃えかすのテープを受けとると、透明な袋に入れてしまい込んだ。


「他になんか見つかったもんないの?」

焼け焦げた棚を漁りながら炯斗が尋ねる。
入り口に立って様子を眺めていた高橋はメモ帳を捲る。

「えーと……火元のライターと割れたガラスしか出てない、かな」

「フム…そっか」

他にめぼしいものもなさそうだ。
尤も、警察が調べた後だから当たり前なのかもしれない。

炯斗は言乃を振り返った。
丁度目が合い、言乃が頷く。

炯斗も頷いて返すと、高橋に言った。


「次、克己さんの部屋見せてくれ」