高橋は苦笑する。

「それは……彼が犯人ではないっていう確たる証拠でもないと厳しいな……」

「じゃあその証拠を探してくればいいんだな?」

「はぃ?」

何か言った?という顔で高橋が固まる。
炯斗は高橋にずいと迫った。

「俺たちで証拠を出せばじいちゃんは解放だろ?」

「まぁそれはたぶん…」

「じゃあ決まりだ!俺たちで探してこよう!」

気合いをいれてよし!と立ち上がろうとしたタイミングで手を下に引かれた。

座らせられる勢いで膝をテーブルに強打した。
いつつ…と涙で滲む世界で犯人を情けない顔で睨む。

「…冗談キツイって……ことのん」

「先走ってはダメですよ炯斗くん。
私達には何も手がかりがないんです。まだ高橋さんに教えて貰わなければならない事がいくつかあります。それを聞かない限り、先に進むのは難しいと思います」

もっともな意見だ。
熱した興奮をすぐさま持っていかれて、少しガッカリと肩を落とすと、恵と高橋が不思議そうに見つめる。

言乃の声は聞こえない二人には何が起きているのかわからないのだろう。

炯斗が座ったのを確認すると言乃は高橋に携帯を向けた。