透はゆるりと炯斗の手をほどき、克己に一歩寄った。

克己もまた、勢い良く立ち上がり嬉しそうに透に駆け寄りながら口を開いた。


「透君!久しぶりだね!いや本当に何年ぶりか―――」


ガッ―――!


鈍い音、悲鳴、ドサリと落ちる体、揺れる光



傍らで動く透を炯斗が羽交い締めに取り押さえる。

「何してるのおじいちゃん!?」

【克己さん、大丈夫ですか?】

「あ、ああ…ありがとう……」

克己は二人の手を借りて体を起こした。
左頬は大きく腫れ上がって痛々しい。

言乃から濡れティッシュを手渡され、患部を冷やしながら、もがく透を見上げた。


「透君…」

「克己ぃ……お前今更何しに来た!」

透は目を見開き叫ぶ。
克己は俯き、弱々しく吐き出した。


「……真実を…探しに…」

「ふざけるな!」