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「夏女くん!」


そう叫びながらガラガラと開けた扉。

保健室は静かだ。


1番手前のベットにカーテンが引かれていて、そこをそっと開けると案の定夏女くんが眠っていた。

夏女くんの長い睫毛がゆっくりと持ち上げられて、その瞳とぱっちり目が会う。
夏女くんは何も言わないで
ただ私を見つめる。


「あの、ヤキソバパン…今ちょうど5分…」

「……」

「あの、ヤキソバパン…」

「もう聞いたから。」

「はい…すいません。」


それから夏女くんはむくっと起き上がると私に手を差し出してきた。

「…?」
「?、じゃねーよ。パンに決まってんだろ」

「あぁ、はいはい。只今………」



「早く…。」

「………………。」

「おい」

「………………。」



…………ない。
この手にあるはずのヤキソバパンが。

ない。