時は少しさかのぼる。

「Bランチお待たせいたしましたー」

よく見かけるチェーン店のファミレスに、明るい声が響き渡る。

「こちらAランチでよろしいですか?って、…なんだ拓哉じゃん」

「なんだはないだろ!帰り道を送りに来てやってるのに!」

「良いじゃないの、こうしてタダでおごってやってるんだからー」


「たくっ、さっさと彼氏でも作れよ、姉貴」

拓哉と呼ばれた少年は口を尖らせながら、料理を口に運んだ。
美味しさに口元がほころんでいる。

「んで、もう仕事終わんの?」

「えっと、あと15分くらいかな」