“完璧”という言葉はこの人の為にあるのだと思う。


……正直悔しい気もするけれど。


歳もそんなに離れていないのに、私を丸ごと包み込むような創司さんの寛容さには惚れ惚れとしてしまう。



「(って、ただの惚気じゃない…)」



熱くなる頬に両手を添えて熱を逃がす。


あぁもう。


私ったら創司さんのことになるといつも……


ハァ…と小さくため息を零す。



「(これがベタ惚れってヤツなのかしら…)」



悶々とそんなことを考えていると、クッ…と押し殺したような笑い声が聞こえた。


今部屋にいるのは私と創司さんの二人だけ。


もちろん今のは私じゃない。


……ということは。



「何一人で百面相してるんだ」


「社長……」



私の心を四六時中掴んで離さない意中の人物が、腹が立つほどに美しい笑みを浮かべて私を見つめていた。