それが恋だとわかっていても

 
 
昨日と同じ屋上で、コンビニで買ってきた朝ご飯を持って、その場にへたり込む。




宮野翔。
来るもの拒まず、去るもの追わず。
骨折で入院して、うっかりナースさんを妊娠させてしまったという噂もある。


そんな恐ろしい相手と付き合えというのか。





「だけどこれまで築いてきた信頼を壊すわけには…」




ぶつぶつと独り言を呟きながら、買ってきたパンを口に放り込む。



壊すのは簡単な事だ。
人の信頼は脆(もろ)く、すぐに壊れて行く。





「まだ宮野と付き合って酷い振られ方をした方が…悲劇のヒロインぶれるし…」




頭の中で、どちらがより信頼を無くすリスクが低いか計算する。

もう慣れてしまったその計算の答えを弾きだし、黙ったまま、パンをちぎって口の中に放り投げた。





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