「まさか冴月さんがこんな人だったとは…知らなかったよ」



ふぅ、と深いため息をついて、ややオーバーなリアクションを取るヤツ、――もとい宮野は、悲しそうな声を出した。


しかし、口調は悲しそうでも表情はそうじゃない。
楽しんでいる。
小さな子供が悪戯の計画を立てている、そんな表情だ。



その原因は先程、度重なるストレスで叫んでしまった私の姿だ。

優等生で落ち着いた性格で通していた私にとって、絶対に見られてはいけない現場だった。



一歩一歩距離を縮めてくる宮野に対し、私はじわりじわりと後ずさる。


本当に蛇に睨まれた蛙だ。

誰にもばれるわけにはいかなかったのに。
まさか立入禁止の屋上に誰かいるなんて思わなかった。

心の中で小さくため息をはき、目の前にいる少年を睨みつけた。




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