私の方を見ながら問いかける。


「え?はい。持ってますよ。」

驚く彼に、しれっと答える。



「そうか・・。」

そう言って考えこむような格好をした彼は、自分のポケットから真っ黒でストラップも何もついていないシンプルな携帯を取りだし

「アドレスも教えとく。」

と赤外線を使って私の携帯に彼の名前を入れた。


電話番号しか入っていなかったメモリーに彼の新たな情報が刻まれる。