遠い、遠い道のりを越えてやっとたどり着いた天国に足を踏み入れる。



中は本当に天国かと思うほど暖房がきいていて、冬空の下を自転車で突っ切ってきた私には少し暖かすぎるくらいだった。



急な暖かさに、冷たくなってマフラーと同じくらい赤くなった鼻が痛みだす・・・。



鼻水も出そうだ。




そんなみっともない姿を誰かに見られてはかなはないと、私はそそくさ書籍が陳列された棚に向かった。



本屋の中は私と同じく天国を求める人々で、思っていたよりも混んでいる。




私は新書コーナーを横目に、奥にあるハードカバー小説のコーナーを目指した。