私は時計を見るや、先生から呼ばれていた時間をもう20分もオーバーしている事に気付き、慌てて教室を出た。



出際に「バイバイ!」と言ったが彼からの返事は聞こえなかった。



先生から受験票と受験の手引きなるプリントを貰い、「受験の日に遅刻なんかすんなよ!!」との言葉を背中に受けながら職員室を出る。



靴箱へと続く渡り廊下を歩いていると「千尋!!」と声。


フッと外を見ると淳が自転車に股がったまま手を振っていた。



私は急いで靴箱から靴を取り出すと乱暴に上履きを押し込み、靴を履くのもほどほどに外に飛び出した。


淳は変わらずそこにいて、私に笑いかけている。



「帰ったんじゃなかったの?」

本当はまた会えてすごく幸せ。


「千尋待ってたんだ。寒いの苦手なのにまた歩くの嫌だろ。ほら、後ろ乗れ。センセーに見つかる前に行くぞ!」


「・・うん。」



私はちょっと躊躇したが、恐る恐る自転車の後ろにまたがると、自転車は勢いよく走りはじめた。