私の意識はいっきに彼へと注がれた。


まるで真冬の空のように深みのある碧い髪。

その碧に相反するくすみのない白い肌。


そして真ん中から分けられた前髪の間からのぞく切れ長な漆黒の瞳。


まるでゲームキャラみたいなイケメンが、私のマヌケな声と同じくらいマヌケなベターなオレンジのエプロンをしている。



「お探ししましょうか?」


少し強い口調に変わった言葉に我にかえる。


「・・あッッ!だっ・大丈夫です!」


「そうですか。何かあったら声かけてください。」



彼はそう言うと、持っていた数冊の新書を私の目の前にある本棚に並べていく。

そして・・



トンッ


「ん?」

「これ、オススメ。」


そういって一冊の本を指さすと、くるりと私に背を向け、スタスタレジへと歩いて行ってしまった。