お母さんはあたしの返事を聞くと、 「じゃ、お母さん先に体育館行ってるから。後でね~」 と言って、手を振りながら体育館へ向かっていった。 あたしもお母さんに手を振って、もう一度目を桜の木へと戻した。 桜の木から落ちてくる花びらは、まるであの日に降った雪みたいに触ったらすぐに壊れてしまいそうで儚い。 …………。 ……ハッとした。 忘れなきゃって思うのに、無意識のうちに今の現実と卒業式のあの日とを重ねてしまう。