卒業式後の裏庭。

裏庭のベンチに座って目を閉じている冬弥。


「…先輩?寝てます!?」


綺麗な寝顔に遠慮がちに呼びかけると、その瞼が開いた。


「起きてるよ。」

「…っ///!!」


悪戯っぽく笑うその顔が綺麗でなんだか少し恥ずかしくなった。

唯子が黙った瞬間、冬弥が口を開いた。


「…俺とつき合ってください。」

「はい!!」

「改めまして、これからもよろしく。」


先輩の綺麗な笑顔がこぼれた。

私もつられて笑顔になった。



―昨日の帰り…

「あ…遊佐先輩」


唯子が見たのは冬弥と小さな黒猫


「可哀相に、捨てられたんだな…お前。」


そう言い段ボールの中で動き回る子猫に手を伸ばす。


「ミャー…」


子猫は冬弥を見つめ不安そうに短く鳴いた


「寂しかった?大丈夫、もぅ寂しくない。一緒に帰ろうなぁ〜。」


自分をじっと見つめる子猫に優しく微笑み撫でる冬弥。


「掴めないし、どこか冷たくて…だけどそのさりげなく優しさに惹かれたんだよね。」



―――――

「ねぇ、何で俺だったの?」

「内緒です!!」


これからもその優しさの傍にいさせて下さいね?
先輩っ!!


-END-