一瞬目を丸くした冬弥だったが、次の瞬間には目を細めていた。


「ツカも可愛いよっ?」


そう言って碧の頬に手を添え、妖しげに微笑んだ。


「っ!」


驚いて後ずさった碧。

二人を見ていた那智が吹き出した。


「うははっ!トーヤ、ツカがビビってるじゃん!」

「いや…つい。ね?」


那智の言葉に冬弥も笑い始めた。


「びっくりさせないで下さいよ!遊佐先輩って男もいけるのかと思ったじゃないっすか!!」


自分が言った冗談に上手いことかぶせられ騙された碧。


「ツカが仕掛けたんじゃん。」


悪戯な笑みをこぼす冬弥


「まぁ、そうっすけど…マジでビビったっす!!」


笑いながら話す碧に那智が言った。


「お、もうイライラはおさまったか?」

「え?」

「すっごい眉間に皺が刻まれてた。」


碧の眉間を突きながら今度は冬弥が言う。


「ぁ…いや‥‥今クラスの子に告白されてて…。返事を迷ってるんですよ。」

「へぇ〜。ツカもてるじゃんっ!!」


ニッと白い歯を見せ笑いながら那智は言ったが、碧の表情は明るくはなかった。