初昼の儀式

 あてがわれたのは婦人科ではなく、子供のころからかかっている小児科だった。
 病院の共同トイレには必ず個室につき一つしびんがあって、或るとき足元に転がったそれが用を足すのに邪魔で手で持ち上げた。しっとりとした液体が手の甲から手首にかけて滴り落ちてき、アンモニアの同系と思しき匂いを放つその液体が、同じ小児科に入院しているどこかの少女の尿だと判じられた時、私は、ただ消えてしまいたい気持になった。しつこいくらいに何度も石鹸で手を洗い、新品のタオルを買って、擦るように拭いた。それ以来、食事はいつもトレーを持ったまま外に出て、ベンチに座って食べることに決めたのだ。