俺がどれだけお前を大切にしていたか。


どれだけ好きだったか。


どれだけ…愛していたか。


まだこれっぽっちも伝えてねぇってのに。



「いくな…!」



聞かねぇつもりか?


言い逃げなんざ、許さねぇ。


だから、まだいくな…



「いくな、いくなよ…!」


『ごめ…ん、ね……もう、体に力が入、ら……』



―――トサッ…


柔らかい、布ずれの音がした。



『小夏!』


『早く先生を…!』



続いて、慌ただしい足音や悲鳴。



「こな、つ……?」



おい待てよ……


聞こえねぇじゃねぇか、小夏の声が。


聞こえねぇ、何も。



『小夏!小夏…ッ!』



うるさい。


うるさいうるさいうるさい…!



『っ小夏!』



頼むから、黙ってくれ。