『浩也(ヒロヤ)は気が短すぎるよ。すぐ不機嫌になるんだから。そんなんじゃいつか頭の血管切れるよ?』
「余計なお世話だっつの」
『でも、浩也ってすぐ怒るけど、絶対に私には怒鳴らなかったよね。どんなに私が理不尽なこと言っても』
私は特別だったの?
からかうような口調が耳朶を叩き、頭の中の一部を刺激する。
特別、か。
『だったらいいなぁ。何か愛されてるって感じ』
その言葉にフッと口元が緩む。
『まぁ彼女だから当たり前なのかな』
「当たり前、ねぇ…」
そんなこと、考えもしなかった。
どれだけイラついていても、コイツが相手だと俺の中の何かが暴走しようとする俺を引き止める。
“無意識”ってヤツか。
だが……

