歌が終わる。 周りには何人かの観客が集まっていた。 こんなに素敵な声なんだから、当然だね。 「いいね。私、これ好き。」 そう言うと紫音くんはパッと顔を輝かせた。 「マジ!? 嬉しいよ!! 俺も気に入ってる曲だからさ!」 そっか、オリジナルなんだよね、確か。 凄いなぁ。 けど、これがもし誰かのために作られた曲だとしたら、なんか嫌だな。 その誰かが、紫音くんの大事な人だったりしたら。 なんか嫌だ。