先輩のクセして呆れた女。

 明らかに、人の恋の邪魔をしているって感じである。

 ったくぅ…

 チーム江崎って、リーダーからしてロクな連中しかしかいないのだから。

「先輩、ご自身が何を言っているのか分かっているんですか?」

「分かっているわよ」

「分かっているなら、何で冗談めいた事を口にするんでしょう?」

「私は本気だけど?」

 私はしばし、江崎先輩の横顔を見つめた。

 鏡を見ながらメイク直しを続ける江崎先輩。

 きっと、頭の中で色々と思いを描いているのだろう。

「江崎先輩から、そんな事を言われる筋合いは全く有りません。何を企んでいるんですか?」

「誰が?」

「江崎先輩が」

「何で私が?」

「先輩って何だか怪しいし、良からぬ事を考えているような気がする」