ジッと遠くを見つめる里奈ちゃん。

　和也を巡る女性関係でのゴタゴタの背景が、少しずつ見えて来たようだ。

「江崎先輩は、お嬢様から藤瀬様を引き離そうとしているってワケですね？」

「小出さんの希望を叶える為にね」

「小出さんの？」

「っそ」

「…」

　呆れた表情を見せる里奈ちゃん。

「あの馬鹿女め」と、私は江崎先輩に怒りの念を抱いた。

「このままだと、藤瀬様は本当に小出さんに取られちゃいますよね？」

「そうはさせない。和也は私のモノだし」

「藤瀬様も藤瀬様ですよね？　男として、シッカリして欲しいですわ」

　私は思わず、苦笑いしちゃった。

「確かにそうだよねぇ。でもねぇ…、江崎麻里子が関わっていちゃあ、さすがの和也も無視出来ないと思うよ」

「無視出来ない？　どう言う事ですか？」