「1人ですって!」

「なあんだ、あのコと一緒じゃないんだ」と、何故かガッカリしたような口調である。

「あのコって誰です?」

「小出さんに決まってるでしょう? 何で一緒じゃないの?」

「彼女とは夕方遅くに別れましたから」

「別れたのォ?」

「はい」

「なーんで?」

「なーんでって、別に理由は…」

「もったいなーい!」

「もったいない?」

「2人だけのラブラブ時間はタップリあるんだし、そのままホテルにでも直行すれば良かったのよォ」

「そんな事を考える余裕なんて、有りませんでしたよ」

「何で無いの? 男ならフツー、下心を出しちゃうハズだよ?」

「急で、大事な用を思い出したから」

「大事な用って?」

「僕のプライベートの事を、話さなきゃならないんですか?」