すると、里奈は怒りを見せた。

 傍に転がっていたダンボールの空き箱に思い切って蹴り飛ばす。

 普段、穏やかな顔をしている秘書が思わぬ顔を見せてめぐみは息を呑んだ。

「エラソーな事を抜かしてんじゃねーよ! イイ加減なテメェと違って、私は私なりに、男子とはキチンと接していたんだよ!」

「わ、私だって!」

「それにテメェには、ちゃんとした友達はいなかっただろう!? 男子から相手にされてても、同じ世代のコたちからは敬遠されていたじゃねーか!」

「あの時は…」

「魔性の女だぁ!? カッコ付けてんじゃねーよ!」

 相手に怒鳴られて、めぐみは足がすくむばかりである。

 元々は不良だった里奈の素顔を目の当たりにして驚きと恐怖を隠せないでいるのだ。

 里奈はこれ以上は何も言わず、去って行った。