小出さんが話しが有るって言って来た。

 江崎先輩には言えない大事な話しらしい。

 では…って言う事で、俺は自宅に彼女を連れて来た。

 コーヒーを出す俺の傍で小出さんは、緊張した表情で座り込んでいた。

 いつもなら彼女、ウチへ来た時は自分の家にいるような気分でくつろぐものだ。

 でも今夜は何故か、よそよそしい振る舞いをしている。

「頼みを…、聞いてくれる?」

「頼み?」

「しかも、大事な頼み」

「俺たちと関係有る事?」

「私の家庭の事なんだけどね」

「お前ん所の?」

「うん」

 何だか小出さんは、やけに深刻そうな表情をしていた。

 いつも明るい小出さんが、悩み有りそうな深刻な表情をするなんて珍しい。

「言ってみろよ。相談事有るなら、乗ってやってもイイから」