「忘れる。キッパリとな」

「本当にぃ?」と、俺を疑うような眼差し。

「俺を信じてくれないの?」

「信じてくれてもイイけど…、神様に誓ってくれるぅ?」

「はー? 神様にぃ?」

「私ぃ、神様信じているの。だから…」

「俺の方は、そんなモノ信じていねーけど」

「そんな事はどうでもイイから、神様に誓ってちょうだい」

「イイけど…、どうやって誓えばイイんだよ?」

 祈り方を知らない俺に、小出さんは目を閉じ両手を合わせる仕草を見せた。

「こうして、目を閉じて両手を合わせるの」

「あ…、こうだね?」

 彼女に教えられるがままに、俺は祈りをする格好をした。

「言いなさい。先ずは自分の名前を言って…、それから…板倉美咲の事はキッパリと忘れて、小出めぐみと交際する事を誓います…ってね」